2000年01月02日
山男魚 「鶴見川からモントレ-へ 1」
95/10/10 21:57
「鶴見川からモントレ-へ」 釣りによって出会った情景と人々 その1
第一章 「始めての釣り」
釣りを始めてやったのは、昭和30年頃 (当時10才) の秋であろうか。鶴見川にボ-トを浮かべてハゼ釣りをしたのが、最初だと思う。父、叔父、伯父、従兄弟と僕の五人であった、と記憶している。川の上には多くの人々が、ボ-トを浮かべハゼ釣りをしており、次から次へと釣れていた様である。僕等も早速手漕ぎのボ-トを借りてに乗り込み、前の日に作ってもらった仕掛けを用い、手取り足取り教えてもらった釣り方で釣りはじめる。釣り始めてすぐに従兄弟ちゃんにアタリがあり、良い型のハゼをつり上げる。叔父連にも当たりが次から次にあり、どんどんつり上げる。ところが僕には全然釣れない。どうなっているんだろう。
そもそもハゼという魚は、海底にいるゴカイとか、その他のエサを食っている種の魚、すなわち、海底の砂底近くに居る魚なので、エサのゴカイが砂底についていないと、どう足掻いても釣れない訳である。始め、僕は、そんなことは知らず、エサを中層に流していたため全然釣れず、浮かない顔をしていると、確か、叔父だと思うが、
「おい、それじゃ釣れないよ、ハゼは底にいるから浮き下をもっと長くしてエサが底に付く様にしなくてはだめだ、貸してごらん、これぐらいの浮き下なら釣れるはずだから」
と云って浮き下を調整してくれた。それ以降、次から次へと釣れる様になり、ビリビリ、ブルブルと痺れる様なアタリに夢中になり、感動し、浮かない顔も何処へやら、笑いと、喜びが、身体中に広がり、釣りとはこんなに楽しいものと感激。結局、皆でバケツ2杯ぐらい釣りまくった。
途中、エサのゴカイが無くなってしまったため、川べりのエサ屋に買いに行った。しかし、店の人はどこかへ出掛けてしまったのか、誰も居らず、叔父が店の人を演じ、伯父が客を演じ、
「すいません、エサを下さい」
「はい、どうぞ、今日はタダです、どうぞ好きなだけ持って行って下さい。」
等の会話がなされ、タダでエサを手に入れたのを、憶えている。又、近くのボ-トでは「アァ!セイゴが釣れた」等と騒いでいる子供がいたり、親子でのんびりと糸を垂れている人々がいたり、今から考えて見ると穏やかでのんびりした時であったと思う。素晴らしい一時であった。
この様な、環境や、時が戻ってこないのかと思うと悲しい。カムバック(Come Back) 鶴見川!鶴見川は今では、日本で五番目に汚い川になってしまった。こんなことってあるだろうか情けないやら、悲しいやら、今でも、鶴見川を愛している人は大勢いると思う。
ハゼは鶴見の家(叔父宅)へ持って帰り、叔母、母、もうひとりの叔母のが料理しテンプラにして食べた。味は良く憶えていないが、さぞうまかった、であろうと推測する。
〔山男魚〕
「鶴見川からモントレ-へ」 釣りによって出会った情景と人々 その1
第一章 「始めての釣り」
釣りを始めてやったのは、昭和30年頃 (当時10才) の秋であろうか。鶴見川にボ-トを浮かべてハゼ釣りをしたのが、最初だと思う。父、叔父、伯父、従兄弟と僕の五人であった、と記憶している。川の上には多くの人々が、ボ-トを浮かべハゼ釣りをしており、次から次へと釣れていた様である。僕等も早速手漕ぎのボ-トを借りてに乗り込み、前の日に作ってもらった仕掛けを用い、手取り足取り教えてもらった釣り方で釣りはじめる。釣り始めてすぐに従兄弟ちゃんにアタリがあり、良い型のハゼをつり上げる。叔父連にも当たりが次から次にあり、どんどんつり上げる。ところが僕には全然釣れない。どうなっているんだろう。
そもそもハゼという魚は、海底にいるゴカイとか、その他のエサを食っている種の魚、すなわち、海底の砂底近くに居る魚なので、エサのゴカイが砂底についていないと、どう足掻いても釣れない訳である。始め、僕は、そんなことは知らず、エサを中層に流していたため全然釣れず、浮かない顔をしていると、確か、叔父だと思うが、
「おい、それじゃ釣れないよ、ハゼは底にいるから浮き下をもっと長くしてエサが底に付く様にしなくてはだめだ、貸してごらん、これぐらいの浮き下なら釣れるはずだから」
と云って浮き下を調整してくれた。それ以降、次から次へと釣れる様になり、ビリビリ、ブルブルと痺れる様なアタリに夢中になり、感動し、浮かない顔も何処へやら、笑いと、喜びが、身体中に広がり、釣りとはこんなに楽しいものと感激。結局、皆でバケツ2杯ぐらい釣りまくった。
途中、エサのゴカイが無くなってしまったため、川べりのエサ屋に買いに行った。しかし、店の人はどこかへ出掛けてしまったのか、誰も居らず、叔父が店の人を演じ、伯父が客を演じ、
「すいません、エサを下さい」
「はい、どうぞ、今日はタダです、どうぞ好きなだけ持って行って下さい。」
等の会話がなされ、タダでエサを手に入れたのを、憶えている。又、近くのボ-トでは「アァ!セイゴが釣れた」等と騒いでいる子供がいたり、親子でのんびりと糸を垂れている人々がいたり、今から考えて見ると穏やかでのんびりした時であったと思う。素晴らしい一時であった。
この様な、環境や、時が戻ってこないのかと思うと悲しい。カムバック(Come Back) 鶴見川!鶴見川は今では、日本で五番目に汚い川になってしまった。こんなことってあるだろうか情けないやら、悲しいやら、今でも、鶴見川を愛している人は大勢いると思う。
ハゼは鶴見の家(叔父宅)へ持って帰り、叔母、母、もうひとりの叔母のが料理しテンプラにして食べた。味は良く憶えていないが、さぞうまかった、であろうと推測する。
〔山男魚〕
Posted by nakano3 at 20:29│Comments(0)
│「えんぴつ」より