2000年01月18日
山男魚 「鶴見川からモントレーへ 17」
95/10/29 20:58
「鶴見川からモントレ-へ」 釣りによって出会った情景と人々 その17
第十七章 「モントレ-での釣り」
忘れてはならない人に、KuroS さんがいる。KuroS さんはUと言う電子部品のメタルパ-ツを製造する会社の人で、子供たちの学校の関係で知り合ったが、滅法釣りが好きであると言う。
しばしば話をしているうち、これまた、KuroS さんの叔父さんがFresno(フレズノ) と言う所に住んでいて、この叔父さんがHooked on Fishing, Crazy Fishermanで少なくても、月に一回は釣りに出掛けないと気が狂ってしまう様な人であるとのこと。
戦争前にアメリカへ移民して、色々な農作物を、我々の住んでいたサンタクララバレ-より南へ二百マイルほど離れたフレズノと言う所で生産していた人で、今はリタイア-して、悠々自適の生活をしている。
しかし、戦中、戦後は随分と苦労したらしい。結局、アメリカ軍人として従軍し、ヨ-ロッパ戦線に参戦し、戦後は日本への進駐軍として、来日し通訳等、行ったそうである。
叔父さんの農場には、飛行場があり、畑に出掛けるのに飛行機で出掛けるとのスケ-ルの農場をもっている。しかし、どう言う訳か、釣りに嵌まってしまった訳である。
叔父さんの昔からの仲間、十人程で、月に一回、 Montery Bayより出船し、季節季節の釣りをしているとのことである。KuroS さんもこれに, たまに, 参加しているとのことであった。
但、我々の住んでいるCupertino からMontery まで、約二時間程掛かるので、一人で行くにはなかなか面倒で、しかも朝早いので、つい億劫になってあまり腰を上げなかった様である。
モントレ-と言うところは、旧カンズメ工場、水族館、ラッコ、シ-フッドレストラン、ペブルビ-チゴルフコ-ス等々で、今や有名な観光地になっており、前に、クリント イ-ストウッドが市長をしていたカ-メルもここからすぐである。
ところで、ある日、僕もこの釣り仲間に入れてもらう事にした。
MonteryへはHighway 101 を通って行くが、現地での集合時間は朝五時、従って、こちらを二時半か三時には出発しなければならず、前の日には早く寝る様にしたものである。
何回も行ったが、何時もKuroS さんの車で連れていってもらった。たまには僕の車で行きましょうと言うと、決まって、一人で行くのも、二人で行くのも一緒だからいいよ、と結局はKuroS さんにドライブしてもらうことになってしまった。
Montery の桟橋へ集合。桟橋から二十人乗り位の船で出て、釣場までは約二時間位かかる。チャ-タ-した船なので、場所はゆったり、費用は一人40ドルと掛け金 5ドル (これは、一番成績の良かった人への賞金となる。)
この二時間位の間に、仕掛けを編んだり、皆から色々な話を聞いたり、ワイワイ、ガヤガヤこの仲間は退役軍人が多く、皆好感の持てる人ばかりであった。この時に戦争中の苦労話や、戦後の生活や、あっちこっちの釣りの話。
叔父さんは本当に良い手をしている。傷だらけで、節々が太くて、ささくれ立っていて、厚い爪を持っている。ああゆう手を持っている人に悪い人はいない。僕はああゆう手が大好きだ。その叔父さんいわく、
「最近はここでも、魚が減ったみたいだよ、昔はすぐそこで白マグロが釣れたもんだが」
釣れにくくなっているのは世界的な傾向か。
春先は、Rock Cod, Ling Cod, King Fish, Flat Fish等の根魚類を狙った底釣り、日本で言うクエ、めばる、かれいに似た様な魚で、白身で、刺し身でも旨いし、フライにするとより美味しく食べられる。大きさは30~50cm位、一~二Kg位、一日のリミットは、Rock Cod類が十五匹、Ling Codが二匹である。海の魚にまでリミットを設けている。
Rock Cod: クエの一種であると思う。Orange, Pinky, Brown, と何種類かいる。
Ling Cod: 姿はナマズに似ていて、やたらに頭と口が大きく、歯が鋭い。
King Fish:イシモチに良く似た魚。
Flat Fish:カレイ、ヒラメ
その他、鰺や鯖も釣れるがあまり釣りの対象にはしない様である。
この釣りは疲れる釣りである。腕に力を、握力を付けて置かないととてもついて行けなくなる。従って、釣りの日程が決まると、エキスパンダ-と握力を付ける器具でトレ-ニングし、釣りに備えたものである。
竿はカチカチに硬めの一本竿、 (長さは1.8m位) 。おもりは一ポンド (ゴルフボ-ル位) か二ポンド (野球の軟球位) の丸型か細長型。
針は疑似針でこれも径にすると三センチ位の大きさのもの。これに、イカの短冊切りを更にエサとして付ける。全てに於いて大仕掛けである。
リ-ルも大型の魚に耐えられる比較的大きなものを使い、道糸はテトロンの10号程度、ハリスは5号程度を使ったが、他の人はもっと太い仕掛けを使っていたようである。まず、エサのイカの切り身を針に付ける。普通、針は3本針。
次にオモリと一緒に一気に海底まで落とし、1~2メ-トル海底を切って当たりを待つ。水深は50~70メ-トル位である。
当たりは水深の割りには明確で、手元にぐっぐっという当たりがあり、暫くそのまま待つと次の当たりがある。こうして、いっぺんに3匹掛けて釣るのが効率は良いが、なにせ1匹が1~2キロ位あり、オモリも重い、水深も深いので上げるのに一苦労である。
一生懸命、ポンピングして上げるが手が痛くなる。但、水深の深い所にいる魚なので、海面の近くにくるに従って、水圧の変化で浮袋が膨らんでしまい、浮くような状態となる。あまり暴れることはなくこの点は面白くはない。但、本当に重いだけである。電動リ-ル等を使う様な人はいない。
釣った魚はジャガイモやタマネギを入れる様な麻で作られたズダ袋に入れて持ってかえるか、多少のチップを出して船頭さんに料理いてもらう。
始めの内は魚のまま持って帰り、自分で料理いていたが、料理いた後の残骸を捨てる際、いくら厳重に密封してごみ箱に捨ててもすぐに臭くなり、結局はかみさんに叱られる羽目になり、多くの場合、釣った魚は船頭さんに料理いてもらうこととした。
すなわち、フィレットだけを持って帰る訳である。これを刺し身にしたり、フライにして食べた。なかなか旨いものだった。刺し身は白身のヒラメに似た感じかな、フライはクエの身の味かな (中華料理で良く出てくる白身のフライみたいである) Rock Codは、Orangeが一番旨かった。
〔山男魚〕
「鶴見川からモントレ-へ」 釣りによって出会った情景と人々 その17
第十七章 「モントレ-での釣り」
忘れてはならない人に、KuroS さんがいる。KuroS さんはUと言う電子部品のメタルパ-ツを製造する会社の人で、子供たちの学校の関係で知り合ったが、滅法釣りが好きであると言う。
しばしば話をしているうち、これまた、KuroS さんの叔父さんがFresno(フレズノ) と言う所に住んでいて、この叔父さんがHooked on Fishing, Crazy Fishermanで少なくても、月に一回は釣りに出掛けないと気が狂ってしまう様な人であるとのこと。
戦争前にアメリカへ移民して、色々な農作物を、我々の住んでいたサンタクララバレ-より南へ二百マイルほど離れたフレズノと言う所で生産していた人で、今はリタイア-して、悠々自適の生活をしている。
しかし、戦中、戦後は随分と苦労したらしい。結局、アメリカ軍人として従軍し、ヨ-ロッパ戦線に参戦し、戦後は日本への進駐軍として、来日し通訳等、行ったそうである。
叔父さんの農場には、飛行場があり、畑に出掛けるのに飛行機で出掛けるとのスケ-ルの農場をもっている。しかし、どう言う訳か、釣りに嵌まってしまった訳である。
叔父さんの昔からの仲間、十人程で、月に一回、 Montery Bayより出船し、季節季節の釣りをしているとのことである。KuroS さんもこれに, たまに, 参加しているとのことであった。
但、我々の住んでいるCupertino からMontery まで、約二時間程掛かるので、一人で行くにはなかなか面倒で、しかも朝早いので、つい億劫になってあまり腰を上げなかった様である。
モントレ-と言うところは、旧カンズメ工場、水族館、ラッコ、シ-フッドレストラン、ペブルビ-チゴルフコ-ス等々で、今や有名な観光地になっており、前に、クリント イ-ストウッドが市長をしていたカ-メルもここからすぐである。
ところで、ある日、僕もこの釣り仲間に入れてもらう事にした。
MonteryへはHighway 101 を通って行くが、現地での集合時間は朝五時、従って、こちらを二時半か三時には出発しなければならず、前の日には早く寝る様にしたものである。
何回も行ったが、何時もKuroS さんの車で連れていってもらった。たまには僕の車で行きましょうと言うと、決まって、一人で行くのも、二人で行くのも一緒だからいいよ、と結局はKuroS さんにドライブしてもらうことになってしまった。
Montery の桟橋へ集合。桟橋から二十人乗り位の船で出て、釣場までは約二時間位かかる。チャ-タ-した船なので、場所はゆったり、費用は一人40ドルと掛け金 5ドル (これは、一番成績の良かった人への賞金となる。)
この二時間位の間に、仕掛けを編んだり、皆から色々な話を聞いたり、ワイワイ、ガヤガヤこの仲間は退役軍人が多く、皆好感の持てる人ばかりであった。この時に戦争中の苦労話や、戦後の生活や、あっちこっちの釣りの話。
叔父さんは本当に良い手をしている。傷だらけで、節々が太くて、ささくれ立っていて、厚い爪を持っている。ああゆう手を持っている人に悪い人はいない。僕はああゆう手が大好きだ。その叔父さんいわく、
「最近はここでも、魚が減ったみたいだよ、昔はすぐそこで白マグロが釣れたもんだが」
釣れにくくなっているのは世界的な傾向か。
春先は、Rock Cod, Ling Cod, King Fish, Flat Fish等の根魚類を狙った底釣り、日本で言うクエ、めばる、かれいに似た様な魚で、白身で、刺し身でも旨いし、フライにするとより美味しく食べられる。大きさは30~50cm位、一~二Kg位、一日のリミットは、Rock Cod類が十五匹、Ling Codが二匹である。海の魚にまでリミットを設けている。
Rock Cod: クエの一種であると思う。Orange, Pinky, Brown, と何種類かいる。
Ling Cod: 姿はナマズに似ていて、やたらに頭と口が大きく、歯が鋭い。
King Fish:イシモチに良く似た魚。
Flat Fish:カレイ、ヒラメ
その他、鰺や鯖も釣れるがあまり釣りの対象にはしない様である。
この釣りは疲れる釣りである。腕に力を、握力を付けて置かないととてもついて行けなくなる。従って、釣りの日程が決まると、エキスパンダ-と握力を付ける器具でトレ-ニングし、釣りに備えたものである。
竿はカチカチに硬めの一本竿、 (長さは1.8m位) 。おもりは一ポンド (ゴルフボ-ル位) か二ポンド (野球の軟球位) の丸型か細長型。
針は疑似針でこれも径にすると三センチ位の大きさのもの。これに、イカの短冊切りを更にエサとして付ける。全てに於いて大仕掛けである。
リ-ルも大型の魚に耐えられる比較的大きなものを使い、道糸はテトロンの10号程度、ハリスは5号程度を使ったが、他の人はもっと太い仕掛けを使っていたようである。まず、エサのイカの切り身を針に付ける。普通、針は3本針。
次にオモリと一緒に一気に海底まで落とし、1~2メ-トル海底を切って当たりを待つ。水深は50~70メ-トル位である。
当たりは水深の割りには明確で、手元にぐっぐっという当たりがあり、暫くそのまま待つと次の当たりがある。こうして、いっぺんに3匹掛けて釣るのが効率は良いが、なにせ1匹が1~2キロ位あり、オモリも重い、水深も深いので上げるのに一苦労である。
一生懸命、ポンピングして上げるが手が痛くなる。但、水深の深い所にいる魚なので、海面の近くにくるに従って、水圧の変化で浮袋が膨らんでしまい、浮くような状態となる。あまり暴れることはなくこの点は面白くはない。但、本当に重いだけである。電動リ-ル等を使う様な人はいない。
釣った魚はジャガイモやタマネギを入れる様な麻で作られたズダ袋に入れて持ってかえるか、多少のチップを出して船頭さんに料理いてもらう。
始めの内は魚のまま持って帰り、自分で料理いていたが、料理いた後の残骸を捨てる際、いくら厳重に密封してごみ箱に捨ててもすぐに臭くなり、結局はかみさんに叱られる羽目になり、多くの場合、釣った魚は船頭さんに料理いてもらうこととした。
すなわち、フィレットだけを持って帰る訳である。これを刺し身にしたり、フライにして食べた。なかなか旨いものだった。刺し身は白身のヒラメに似た感じかな、フライはクエの身の味かな (中華料理で良く出てくる白身のフライみたいである) Rock Codは、Orangeが一番旨かった。
〔山男魚〕
Posted by nakano3 at 21:14│Comments(0)
│「えんぴつ」より