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2000年01月17日

山男魚 「鶴見川からモントレーへ 16」

95/10/28 22:45

「鶴見川からモントレ-へ」 釣りによって出会った情景と人々 その16

第十六章 「ヨセミテでの釣り」

 カルフォルニア州の中東部にヨセミテ渓谷と言う所がある。ここは有名な景勝地で国立公園になっている。セコイヤの大木、ヨセミテ滝、ハ-フド-ム等シェラネヴァダが造った渓谷でテレビ等でも紹介されているので、ご存じの方も多いと思う。

 グランドキャニオンとかモニュメントバレ-とかの景勝地にも行ったが、ヨセミテが一番。ここは緑が多くて、ほんとに綺麗なところ、それはそれは素晴らしいところである。

 すっかり気に入ってしまって、なんだかんだで7、8回は行ったであろうか。と言うのも、ここで日本の渓流なみの釣りができるのです。

 シェラネバダに端を発する流れは沢山あるが、その一つに Marced River(マ-セド川) と言う流れがあり、この流れがヨセミテ国立公園を横断し渓谷を造形している。何となく、井川の上流に似ている。

 ある年の五月の末に、家族と共に二泊でのヨセミテ行きを計画した。家から約約四時間程のドライブ。高速道路を通って、アメリカの高速道路は全てタダなので本当に有り難い、あっちの街、こっちの街を通って予約しておいたロッジに着く。

 早速、景勝地や滝の探索に出掛け、国立公園の案内所へ行き、妻や娘たちは案内書を貰ったり、乗馬の場所を聞いている。こっちはそれどころではない。釣り好きそうなおじいさんの案内係をつかまえ質問する。

「釣りしたいんだけど、どこいら辺が良いですか?」

「???%%%??;;¥¥??」

これがすごい英語、昔から西部劇やいろいろな映画やテレビを一生懸命見ておいてよかった。モゴモゴ言語がはっきりしないが、何となく判る。

「どこがええっておみゃ-さん、このマ-セド川じゃ何処だって釣れるぜよ」

「どんな魚が釣れるですか?」

「Rainbow, Brown, Golden, かな、でっこいのがでるぜよ」

「^^^^^^^^^」

「ところで、おみゃ-さん、ライセンスはもってんだろうね?」

「もちろん、もってます。」

 僕はこの時、キャルフォルニア全域、海水、淡水、湖水、オ-ルマイティの、
Fishing License を持っていた。と言っても年間25ドルである。

「やんなせぇ、やんなせぇ、どこででも」おじいさんニヤニヤする。

「でも、解禁は来週の今日から、来週またきなせぇ、一週間早かったね」

「。。。。。・・・・・。。。。。###・・・&&&。。。」

 それはないだろう!、 今週の土曜日に解禁になるって聞いてきたんだ。しまった、やはり現地に問い合わせておけば良かった。アメリカでは情報の行き違いは日常茶飯事なのでかならず、何事においても、二重三重に確認しておけよ、注意を受けていたのに。

 妻や娘達に笑われるやら、馬鹿にされるやら。

「ダディ、ダディは英語がわかんないんじゃないの、それで日にちを間違えたんじゃないの」

 冗談じゃない、仕事の英語はわかんなくても、釣りの情報を聞き逃す訳はない。

 一寸くらい、英語がしゃべれる様になったからと言って、いい気になるな。

 と言っても、娘たちの英会話の上達は早かった。びっくりする位早かった。来て半年位で日常の会話をこなし、一年もすると、友達と冗談が言える様になり、二年もすると、電話で友達と長電話したり、喧嘩したり、三年するととてもこちらが追いつけない若者の英語をしゃべる様になる。柔らかい頭脳がうらやましい。

 ところで、その後、仕事やら何やらでなかなかヨセミテへ行けなく、七月になって、ついに居たたまれなくなって、日帰りの釣行を決行した。妻は行き帰りの半分はドライバ-として一緒に行ってもらった。

 ところが、川は洪水の様に水が増え釣り何かできる状態じゃないほど、増水している。シェラネバダの雪が一気に溶けて流れだしているのである。それでも、折角きたのであるからと竿を出して見たが釣れる訳はない。

 ここは六月の始めから終わりの一ヵ月ほどが良いらしいことをこの時に知る。

 次の年、六月の中頃、次女の和子とその友達のNINAを連れて、ハイキングとピクニックを兼ねてヨセミテに行った。もちろん、釣り道具をもって。

宿は去年と同じロッジ、こことは顔馴染みになってしまっている。午後四時頃ロッジに着き、娘どもはプ-ルで一泳ぎしてくると言う。よし、とばかり僕は早速釣道具を取り出し、馬鹿ナガを履いて、ロッジの向こう側に流れているマ-セド川に釣りに入った。

竿は日本から持って来た、NF..のカ-ボンロッド4.5m, 糸はグンの06、目印をつけた日本での典型的な渓流の釣り方。餌は生イクラ。

イクラとかみみずとか、餌を用いて釣りをする事をドン百姓釣りと言うそうな、ウォルトンが言ったのか、開高さんが言ったのか、Rivers Run Throughと言う映画にも出てきたが、Worm (ミミズ) で釣りをする人のことを、Farmer's Fisher Man(百姓の釣り) とゆうそうである。

余りにも餌釣り師を馬鹿にした言葉では無いだろうか、僕はルア-でもフライでも、毛針釣りでも、それはそれで、それぞれの主張があり、良いと思う。餌釣りは釣りの原点、誰のお陰で飯が食えるんだ。

 そんな事が頭をよぎったが、そんなことは構わず、生イクラを使った。馬鹿ナガを履いて、道路を横切り、ブッシュをこいで流れに入り、仕掛けを編んで、流れ込みの上に第一投、この時程緊張することは無い。何回か流すがアタリは無い。

 次のポイントに移り、同じ様に流す、流れていた目印がフッと揺れる。久しぶりの感触、ピシッと合わせたつもりだが、久しぶりなもんだから、焦っていたんだな、針がかりせず抜けてしまった。

 同じポイントで暫く粘ったが二度とアタリは無かった。次のポイントに移動、今度はアタリが竿先に伝わってきた。今度こそはいただきだ、引き抜いて手元まで持って来たが手元が狂って、横に生えていた木の枝に糸が絡まってプッツン。魚は流れに。何と言う下手さ、何と言う醜態、ガックリ。

 震える手で仕掛けを編みなおして、次、今度も明確なアタリが有り、落ちつけ、落ちつけと自分に言い聞かして、今度は慎重に取り込む。

 手にしたのは32cm余りのレインボウ。しげしげと魚を観察する。側線の虹色がきれいだ、尻尾も三角形で綺麗。

 虹鱒と言う魚がこんなに綺麗だとは思わなかった。

これから後は良く釣れた。まてよ! カルフォルニアのリミットは? 大きさ8インチ(20cm)以下は放流。一日五匹まで。布製の魚籠の中にはもう五匹いる。もっと釣りたかったがル-ルは守らなくては。

 ここの人達はこう言うル-ルを本当に良く守る、大したものだと思う。本当に感心させられる。

 次の日、娘達と、グレ-シャア-ポイントとか言う所を散策し、近くの山を散策した後、娘二人に竿を持たせて釣りをさせた。夕べ雨が降ったせいか、水かさが増していて状況は良くなかったが、ある淵でねばっていると、NINAの竿にアタリがあり、30cm近い虹鱒がかかり、娘共は大慌て。

僕もヴィデオなど撮っていたが慌てて飛んで行った。

「きゃぁ-、きゃぁ-」とにかく大騒ぎ。

 やっとの思いで釣り上げた顔は嬉しそう、楽しそうだった。僕もそのあと、その下の瀬でブラウンを一匹釣った。これも非常に綺麗なブラウンであった。

 なにせ空は抜ける様な青さ、水は豊穣で、木々は緑々で、岩肌は荒々しく、素晴らしい自然の中の一時。良い一時を過ごさせて貰った、自然に感謝。
                               〔山男魚〕




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