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2000年01月12日

山男魚 「鶴見川からモントレーへ 11」

95/10/21 22:02

「鶴見川からモントレ-へ」釣りによって出会った情景と人々 その11

第十一章 「岐阜県可児市の家、飛騨川水系 赤川」


 昭和57年(1982)のことと思うが、ロ-ンを組んで、岐阜県可児市桜ケ丘という所に建売住宅を購入した。妻の正恵が熱心に調べ、家を買うなら今が良いとしきりに勧める。

 いずれか、僕も名古屋近郊の勤めになるであろうし、この時、37才、40前には自分の家を持つことを一つの目標にしていたし、将来的に財産と言う意味で土地付きの家を持つのも悪くないと考えた。

 場所、環境、交通の便、価格、広さ、間取り、その他の条件は全て正恵にまかせた。本社なり工場なりに通勤できる圏内であることは当然として、但、ひとつだけ条件を付けた。

 それは「一時間以内で釣場へ行けること」それ以外の事は全て任せて、決まったのが可児市の家である。住みごこちも悪く無さそうであるし、ここは長良川水系、飛騨川水系、木曽川水系等、アマゴ、鮎の有名な釣場に一時間も走れば行ける。文句は無い。

 但し、もう十数年経つのに、今までこの家に住んだのは、女房、子供達が約二年半、僕が半年でずっと空き家になっている。隣が女房のおふくろさんに家になっており、ときたま風通し等してもらっているが、何とも早、勿体ない話である。なかなかままならぬのがサラリ-マンの身の振り方。

 早く自分の家に住んで、勝手気儘に植木など植えたいし、壁にクギなんか打ちつけたい。壁に絵をいっぱい飾ったり、棚なんかも吊りたいと思う。又ある家に預かって貰っている愛犬のナッキ-も連れ戻したいが借家ではどうにもならない。まあ、いずれ住める様になる時がくるであろう。

さて、昭和61年(1986)の5月3日、この時、僕はひとりで山梨に単身赴任していた。家族は可児の家に住んでおり、5月の連休に可児に帰って来た時の事。「フィッシュオン」という釣りの雑誌に飛騨川水系の赤川が、鮎も良いが、アマゴも良い穴場と書いてあり、地図で調べて見ると、ここから車で一時間以内でいける事がわかり、早速、釣行することにした。

 前の日に、近くの釣り具屋で、エサのミミズを買い、朝の四時頃に起きて出発。国道41号線を北上し、白河の交差点を右に曲がって、三井村に入り、赤川に至る。ここは、穏やかな田園地帯で、狭い道路を車ですれ違う時も、とても礼儀正しく、名古屋地区からちょっと離れただけで、こうも変わるものかと、びっくりする。

 皆、こうありたいものである。広場に車を止めて、釣りの準備をし、しばらく下流の方に歩いて、川に降りる細い道から河原におりる。渓は、落差の比較的少ない、平坦な流れで、鮎の渓相である。適当なポイントから釣り始める。雑誌の記事によると、良型のアマゴが数釣れるとある。

 期待を持って釣り始めるが、なかなかアタリはない。ある絶好のポイントに、そっと投げ込む、目印がすうっ-と流れて行き、ふっと、揺れる。アタリだ。瞬時に合わせ、釣り上げる。

 やっと釣れた。良かった。ところが良く見てみると、それはアマゴではなく、ヤマベ(山女魚では無くオイカワの事)のでかい奴。がっかりした。それから、次から次に釣れるのはヤマベばかり。

 「雑誌に書いている人は、ヤマベとアマゴを間違えたんじゃねえか。人を馬鹿にしやがって。こちとら、遠くから来てるんだ。何とかしろ!」

 一人、大きな声で呟く。と言っても、釣りなんてものは、そううまく行く訳はない。

 「この自然の雰囲気を楽しめば、それでいいじゃね-か、見ろよ、あの花、綺麗じゃね-か」

 自分自信に言い聞かせ、ヤマベを釣っては、放流し、ヤマベを釣っては、放流する。こんな事を一時間以上続けていたであろうか。今度は障害物のある様な、狭いポイントを攻めて見ようと思い、小さな落ち込みに材木の破片が落ちている様な所を狙って見た。

 落ち込みの上から、エサが流れる様に投げ込み、目印がドンドンに落ち込んで、更に、流れの早い、浅瀬に流れて行く。目印が一瞬止まる。合わせる。「やった」25センチのアマゴ。綺麗なアマゴだ。考えて見ると、今まで比較的流れの緩やかな、淵やとろ場を中心に攻めていた事に気が付いた。

 今は山吹きの黄色い花も真っ盛りの春、アマゴは瀬に出ている。それからは、なるべく流れの早い瀬を中心に攻めて行った。するとどうだろう、良型のアマゴが次々と当たって来る。渓流と言うのは、渓流魚と言うのは不思議なものだ。

 更に、二時間位釣りをし、12~13匹釣って、ご機嫌で帰って来た。その後、何回か、ここには釣りに行ったが比較的良い成績を残している。

 ここは釣りも良いが、人々も温和で道ですれ違っても、挨拶はしてくれるし、釣りの状況やら、道やら親切に教えてくれる。何かと殺伐とした世界に住んでいる僕にとっては、本来の人間の姿を見た様に思え、ほのぼのとした思いが体に満ち溢れ、とてもうれしくなってしまった。

 そういう事もあり、ここには良く釣行することになった。坊主になることもしばしばあったが、比較的気分の良い釣りをすることができた。

 その後、鮎釣りを覚え、ここに入り浸りになることになる。

 やまべ(オイカワ)と言う魚は、この辺には多く生息しており、時に20cm近くあるものもおり、ビクリとさせられることもある。一回食べてみようと思い、何匹か持ちかえって、塩焼き、唐揚げ、煮付けなどにしてみたが、あまり美味しくない。何か旨い食べ方は無いものだろうか?
                              〔山男魚〕



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